キッズ・リターン ~Kids Return~ | sakura+web-entertainment

キッズ・リターン ~Kids Return~

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【キッズ・リターン ~Kids Return~】

監督・脚本:北野武
撮影:柳島克己
音楽:久石譲
出演:金子賢、安藤政信、森本レオ、山谷初男、柏谷享助、大家由祐子、

   寺島進、モロ師岡、石橋凌
製作国:日本
上映時間:108分
初公開年月:1996/07/27




「好きすぎて語れません」


なのに


「語りだすと止まりません」



なんでしょうね、この激しい矛盾・・・

(のっけからオチツケジブン)


うまく説明できない
できるわけなんかない
できるとも思ってない



あたしにとって、
本作「キッズ・リターン」
そして「北野監督作品」
それから「北野武」 という人物


そのくらいの位置づけです。

もうホンット・・・大好きでたまらない存在です。



実は、北野監督作品を初めて観たのが、本作でした。


「ビートたけし」が大好きなあたしが、
なぜか「映画監督・北野武」を受け付けなかったのは、
単純に「バイオレンス映画」という評判が高かったから。
実はバイオレンスやホラーってホンッット苦手なんで・・・

叫ぶ汗出る涙出る魂出る(出さんでええ)なんてもんじゃ

全然おさまらないくらいに苦手なんですわい、トホー!!


が!


「本気であほだったな・・・土下座して詫びろ」
振り返って、心底そう思い遠い目する自分がいたり。
(ここ、笑うとこ)



ちなみに、「北野作品=バイオレンス映画」の方程式、

これはちょっと違うと、作品観るとわかっていただけるかも。

うーんうーん、確かに暴力描写多い作品かなりあるけど。


なんていうか「暴力を見せたい」作品じゃない。

欲望のコントロールがきかない人間の甘えたものじゃない。

「アクションもの」という位置づけでもない。


だからこそ

「本当に重い、心底考えさせられる」。



「いいものは、やっぱり本当にいい」
改めてそう思わせてもらえた北野武という人物に、
「乾杯」であり「完敗」なのです、ハイ。


二度と出てこない、こんなヒト。
このヒトの「代わり」なんて、誰ひとりとしてなれない。



反対意見も善意ある批判も、
「ヒトそれぞれ色んな感覚あるし」と受け止める自分が、
(誹謗とか中傷は、たとえ自分の好きなものじゃなくても、
本っ気で気分悪くなるんでノーサンキューですけど)


こと「北野武(ビートたけし)」に関すると、


「あたしの前で一切言わないでーでーでー(←エコー)


ソッコーでスパッと投げ返す勢い。
しつこく言われると本っっ気でキレそうになる、
いやこれホント・・・もうホントお願いママーン(誰)なのです。


もちろん「自分も好き!」ってスタンスで、
「こういうとこは、こう感じてる」とか語られるのは当然別として!

いくらでも思う存分好きにガンガン語っておくんなせえ!!

(だから誰)



理屈もクソもないーいー。

未熟だろうがなんだろうが構わないーいー。
そんなもんじゃ測れないーいー。


本気でイヤなもんは本気でイヤだから仕方ないーいーいー!
(エコー再び)


そのギャップが、友人間ではたまらないらしいです
(うおー、みんなマゾ・・・?笑)。
あ、もちろん、そのギャップを見たくて、
わざわざ悪く言ってくるような友達はひとりもいません(笑)。
つーか、そういうの本気で一番ご勘弁なタイプです(苦笑)。



そういうモノが、理屈抜きで自分の中にもあるから、
だからこそ、
ヒトが「本気で大事にしてるモノへの“思い”」もわかります、ウス。


「そのヒトが大事にしてるモノを、そのヒトに悪くは言わない」
それはそういう理由から。



・・・・・し、しまった・・・・・


チョーチョー脱線脱線!!
(早くも得意技登場、アーイタタタ)



個人的に、北野監督作品で、
初鑑賞となった本作品が一番好きです。


この作品の「色」「温度」「感触」etcetc...
ものすごく衝撃的に、でも馴染むように響いてきたから。


自分の人生で、今までで一番大事な時期に出会ってるのもあるかも。
強烈で鮮烈で、そしてずっしりと、重く鈍く残るかのように。



ちなみに、本作は監督の事故後初作品であり、復帰作。
初めて、「生」に向かって描かれた作品。


「キッズ・リターン」 というタイトルも含めて、
そういう監督のバックボーンから考えても、
実に色々と感じられる一作かもしれません。
純粋に「作品」を思う存分楽しんだ後に、ぜひぜひ。



個人的ベースで言うと、
感覚や価値観、スタンスの枝葉が大きく全てガラッと変わった時期に、
まさにこれ以上はないタイミングの良さで出会った作品で。


背中を強く強くやさしく後押ししてもらったような作品。


今でもずっと、忘れたことはありません。



疾走感と物悲しさ、
タイトルバックのオープニング、
ここに全てが表現されてるかもしれません。


ヘタな空虚な夢を見せるでもなく語るでもなく、

現実の厳しさ、あざとさ、ピラミッドの当たり前の不平等、
声高らかに押し付けるでもなく、脅すでもなく、

どこかあたたかく切なく励ましもしながらも、

ただただシンプルに、

そのまんまを目の前に差し出すかのような。



「これをどう感じるかは、観たヒトそれぞれでいい」


テーマを押し付けるのを嫌う北野監督らしいスタンス。



だから好きです。
本当に好きです。


リスペクト、なんて言葉が、陳腐に感じられちゃうくらい。



「キッズ・リターン」
そして
「北野武」


あたしが語るには、これくらいのスペースじゃ足りない。
いや、語る必要なんか、実はないのかもしれない。



「映画は今の自分にとって、楽しいおもちゃみたいなもの」


そんなスタンスで映画を撮れる北野監督が紡ぎだす世界を、
どうか体験してほしい、と、心から思ってます。